Webの再生と技術者の今後
及川卓也
Tably株式会社 代表取締役
インターネット誕生以来、Webは「情報の民主化」「開発者プラットフォーム」「社会基盤」へと進化してきました。私自身、ベストセラーとなった「Web進化論」に胸を躍らせ、Web 2.0の波に熱狂した世代です。しかし、近年は「Web退化論」とも呼ぶべき閉塞感があります。大手プラットフォーマーの支配、AI生成コンテンツの氾濫、フェイクニュースや分断、炎上を恐れる閉じた言論空間などが、Webのオープン性を揺るがしています。一方で、ブラウザベンダーの新しいAPI実装やW3Cでの標準化、オープンWebを守ろうとする開発者コミュニティの動きも続いています。本講演では、Webを取り巻く最新の動きや環境変化を俯瞰しつつ、「Webの未来はどうあるべきか」を考えます。WebはIT全体を支える基盤であり、その未来を失ってはいけません。だからこそ、技術者としてWebのこれからを真剣に考える必要があります。そしてもう一つ、生成AIによって大きく変わる技術者のキャリアについても考えていきます。これまでディスラプトする側だったIT技術者が、いま初めてディスラプトされる側に立たされています。そんな時代に、私たちはどう未来を選び取るのか。Webと技術者のキャリア、この二つを接続しながら、オープンで創造的な未来像を描きます。






